「ゼロ和解」とは。
Q 「ゼロ和解」とは、どのようなものですか。
A 「ゼロ和解」とは、顧客と貸金業者が相互に債権債務関係のないことを確
認して成立させる和解です。
顧客が貸金業者からお金を借りている場合、通常は債務(借金)が残って
いる状態になります。
ところが、過去に利息制限法の上限金利を超過する金利で取引をしていた
場合、利息の払いすぎがあるため実際の債務の金額が圧縮されることがあ
ります。
弁護士が介入して債務整理を開始すると、通常は業者から取引の履歴をす
べて取り寄せ、それを利息制限法の適正金利に引き直します。引き直し計
算の結果、実際に顧客が返済すべき債務の金額が確定され、払いすぎてい
た場合には逆に顧客が貸金業者に対して、過払い金を請求することができ
ます。
しかし、貸金業者が取引の履歴を一部しか開示してこなかった場合、正確
な引き直し計算が出来ない場合があります。業者が開示した取引履歴のみ
による引き直し計算によると債務(借金)が残ってしまうものの、非開示
の部分を含めれば債務がさらに圧縮されるだろうと思われる場合には、ゼ
ロ和解の提案がなされることがあります。
もちろん、取引履歴の非開示部分を考慮すれば過払い金が出ていると思わ
れる場合には、訴訟などで過払い金の請求をすることもあります。
「ゼロ和解」は債務の消滅が客観的に確定するというメリットがある一方
で、将来の過払い金の請求を放棄することになります。
依頼者の方にとってどのやり方が最も利益につながるかを考えて、和解の
可否を判断していく必要があります。