自由財産とは
Q 「自由財産」とは、どのようなものですか。
A 「自由財産」とは、破産手続き開始し破産管財人が選任された場合でも、
破産者自身が管理処分できる財産のことをいいます。
噛み砕いた表現をすると、破産をしても破産者の手元に残る財産と考えて
よいでしょう。
破産手続きが開始すると、破産者は、原則として破産手続き開始決定時に
持っていた財産の管理処分権を失います。代わりに、裁判所から選任され
た破産管財人が、これらの破産財団に移行した財産について管理処分権を
得ます。
つまり、破産手続きが始まると、破産者が勝手に自分の財産を処分したり、
費消したりすることができなくなるのが原則なのです。
これに対して、破産手続きが開始しても破産者自身が管理処分できる財産
も例外としてあります。
これが「自由財産」です。
「自由財産」となる財産は、大きく分けて2種類あります。
①一つ目は「新得財産」と呼ばれるものです。
「新得財産」とは、破産開始後に破産者が取得した財産です。
破産財団を形成するのは、破産手続き開始決定時の破産者の財産です。
つまり破産手続き開始後に得た財産は、破産財団に組み込まれること
がありません。
②2つ目は「差押されない財産」です。
差押されない財産には、差押禁止財産と権利の性質上差押の対象とな
らない財産があります。
前者の代表的な例が、民事執行法上の差押禁止財産(民事執行法13
1条3号)です。破産法はこの1.5倍相当の金銭を破産財団に属し
ないとしています(破産法34条3項1号)。
具体的には、破産手続き開始決定時に所有している現金の99万円ま
では、自由財産になります。
裁判所によっては、上記の財産以外でも破産財産を構成しない財産や換
価を要しない財産とする運用がなされていることがあります。
また、同時廃止手続きになった場合には破産管財人が選任されないため、
財産の換価・処分はされません。