過払い金と取引の分断
Q 「取引の分断」の問題とは、どのようなものですか。
A 「取引の分断」とは、借金をした後に一度完済をして、その後また借入を
した場合、最初の取引(「第一取引」)と一度完済した後にした取引(
「第二取引」)を、一連の取引として考えるのか、2つの別々の取引とし
て考えるのかという問題です。
「取引の分断」と評価されるのか、「一連の取引」と評価されるのかで、
過払い金の金額の計算に大きな影響があります。
基本的に「一連の取引」と評価されるほうが、債務者(お金を借りてい
る側)に有利です。
主な影響としては以下の2つです。
(1)「第一取引」の過払い金が「第二取引」の元本に充当されるか。
特に「第一取引」の取引期間が長く、過払い金が多く発生している場
合には、「取引の分断」で計算したときに比べ、「一連の取引」とし
て計算したほうが金額は大きくなります。
(2)消滅時効の関係
「取引の分断」と評価されると、「第一取引」の最終取引日から10
年以上経過している場合、「第一取引」の過払い金が時効によって
消滅してしまいます。これは過払い金を請求する側からすると大き
な痛手です。
このように、「取引の分断」と評価されるのか、「一連の取引」と評価さ
れるのかで過払い金の金額が大きく違うため、貸金業者はこの論点を強く
争ってくることがあります。
特にご本人で貸金業者に直接過払い金の請求をした場合、貸金業者は当然
のように「取引の分断」を前提とした金額を提示してくることがあります
ので注意が必要です。