破産と相続について
Q 破産手続前に相続が生じたら、相続財産はどうなりますか。
A 破産手続きが開始されると、破産者の相続人としての地位のうち、相続
財産の分配を受ける権利は破産財団に帰属します。つまり、債権者に分配
される財産に組み込まれるということです。
したがって、原則は相続財産のうち破産者の取り分は換価・処分されて
しまいます。
Q 破産手続き開始前に相続放棄をしたらどのようになりますか。
A 手続き開始前に相続放棄をすれば、破産者の相続分は破産財団に帰属し
ません。つまり、破産者の相続分は換価・処分されません。
また、相続放棄は「初めから相続人とならない」という身分行為である
こと(民法939条)から、否認権の対象にならず、免責不許可事由にもあ
たりません。
Q 破産手続前に相続が生じ、破産手続き開始後に相続放棄をした場合は
どうですか。
A 破産手続開始決定後の相続放棄は、限定承認の効力しか生じないとされ
ています。したがって、相続放棄としての効果は生じません。
Q 破産手続きの開始前に遺産分割協議をして、他の相続人にすべて相続
させました。問題はありませんか。
A 問題になる可能性があります。
遺産分割協議は、相続放棄と異なり財産行為とされます。このため遺産
分割において正当な理由なく自己の相続分をゼロにしたりすることは、
否認権の対象となります。